INDEX

  1. 熱中できるものはひょんなところに落ちている!?パンダに一目惚れして始まった「毎日パンダ」
  2. 好きこそものの上手なれ。継続は力なり。休むことなく2,000日近くも続けた理由
  3. 仕事に生きるのか?趣味に没頭するのか?パンダを撮り始めてからライフスタイルが激変!
  4. 趣味を仕事にしない厳格なルールを徹底。趣味だからこそ続けることができる
  5. 趣味を持つことは、明確な目標をもつということ

INTERVIEWEE

高氏 貴博

TAKAUJI Takahiro

熱中できるものはひょんなところに落ちている!?パンダに一目惚れして始まった「毎日パンダ」

画像:高氏貴博さん
  
−「毎日パンダ」を始めたきっかけを教えてください。   
「たまたま仕事に空き時間ができたので、職場の近くにある上野公園をぶらぶらしていました。リーリーとシンシンが上野動物園に来た2011年のことです。それまでしばらくの間、上野動物園にはパンダがいませんでした。そこにやって来た2頭のパンダが話題になっていたので、久しぶりにパンダでも見てみようかな、と。」
  −本当に思いつきでパンダを見にいったんですね。
  
「暇つぶしのつもりが、あまりにもパンダが可愛くて、4回も並んで見ちゃいました。特に寝ている姿がだらしがなくて、いい(笑)。こちらは毎日必死で働いているのに、なんて呑気で面白い生き物なんだろうって。上野動物園は、入園料が600円で、年間パスポートが2,400円なんです。入園の際に、『4回行けばもとが取れる!』と思い、その場で年間パスポートを購入。明日もパンダを見に来ようと思いました。」
  −翌日もパンダを見て、「可愛い」の思いから何か変化はありましたか?
  
「翌日見に行くとやっぱりその姿が可愛くて、さらに次の日も行きました(笑)。最初はリーリーとシンシンの見分けもつかなかったのですが、通っていくうちに2頭の顔の違いがわかってきたんです。性格や癖も徐々にわかってくると、もっと面白くなってきて、気づけば毎日通うのが習慣になっていました。」
  −通い始めた初日からブログを始めたのですか?
  
「当初の1カ月は、既存のブログでパンダの様子を紹介していたんです。1カ月間パンダだけを紹介すると面白いかもと思って、まずは1カ月続けることを目標にしましたが、あっという間でした。そこで、撮った写真も溜まってきたし、パンダの可愛さを皆さんと共有するにはそれに特化した方がいいと思い、『毎日パンダ』を始めたんです。」
  

好きこそものの上手なれ。継続は力なり。休むことなく2,000日近くも続けた理由


画像:桜とパンダ/撮影:高氏貴博
  
ブログ『毎日パンダ』をスタートしたのは、2011年8月14日。高氏さんは、その日から1日も休むことなくパンダを撮影し、ブログで紹介しつづけ丸6年が経過しています。一体なに が高氏さんをそこまで突き動かすのでしょうか。
  
「完全にパンダへの愛ですね。ひとつのものにハマるとのめり込む性格も影響していると思いますが……。あと途中で投げ出さないように自分を追い込んだというのもあります。」
  −具体的にはどのようなことでしょうか?
  
「『毎日パンダ』を始めたことを、家族や職場の人たちに伝えたんです。すると、『すぐ飽きて止めるだろう』と言われました。通ううちに顔見知りになった動物園の職員の方にも『いつまでやるの?』って聞かれてたり。 そういったことを言われるたびに『いつまでもずっと続けます!』と答えていたので、自分で宣言してしまった手前もあり、続けるしかないなと(笑)。あと、続けるうちに読者の方から応援メッセージをいただくことも増えたので、より続けていこうという気持ちが強くなりました。」
   −周りの人たちに自らの活動を発信することが、結果的に長く続ける原動力となったのですね。
  
「そうですね。でも、単純に『リーリーとシンシンのことを知れば知るほど可愛く思えてくる』というのもあります。我が子のように思えてきて、今では毎日様子を見ないと落ち着かないくらいです。休園日も門の隙間から様子を見に行ったりしてるんですよ(笑)。」
  −なんとそこまで(笑)!雨の日も台風の日も会いに行くんですか?
  
「むしろ天候が荒れている日は、普段見られないパンダの様子を見ることができるので、僕的にはむしろおいしい。それに、来園されるお客様も少ないので撮影がしやすいんですよね。」
  −1日1日積み重ねて、もうすぐ2,000日に達します。
  
「振り返ると、よくもここまで続けたな〜と思いますが、この6年間はまったく苦ではありませんでした。 セルフブランディングに近いですが、『◯◯のことなら●●に聞け』という専門分野が欲しかったという思いもあったので、続けることで知識が蓄積されていくのはうれしかったですね。 すぐにやめてしまっては何も得ることができませんし、何かを始めてはすぐやめるという癖もついてしまいます。僕の場合、パンダという夢中になれる対象に出会えたことも大きかったですね。」
  

仕事に生きるのか?趣味に没頭するのか?パンダを撮り始めてからライフスタイルが激変!


画像:パンダを撮影する高氏さん
  
ブログ『毎日パンダ』の更新を通して、パンダに愛情を注ぎ続けてきた高氏さんのライフスタイルは、ブログを始める前後で大きく変わったと言います。具体的にはどのような変化があったのでしょうか。
  −『毎日パンダ』をスタートしてから、高氏さんの生活にどのような変化がありましたか?
  
「完全にパンダ中心の生活になりました(笑)。大きくライフスタイルが変わったことで、プライベートにも仕事にもいい影響が生まれています。」
  −具体的に仕事面ではどのような影響がありましたか?
  
「それまでギリギリまで寝てから出社して、ダラダラと仕事をこなして、気づけば終電間近ということも多かったんです。毎日、パンダを撮影するようになってからは、スケジュール管理が完璧になりました。いまではしっかりとスケジューリングをして、仕事の生産性や成果もこだわるようになりました。 業務時間内にやるべき仕事を終わらせないと『毎日パンダ』の時間が割けませんし、成果があがっていないと『パンダのせいじゃないの?』と言われてしまいますから。あと、取引先の方にも『毎日パンダ』のファンがいて、円滑なコミュニケーションが取れるなどいい影響ばかりですね。」
   −趣味を継続するために仕事の能率化に成功したのですね。では、プライベートにはどのような変化がありましたか?
  
知人が劇的に増えましたね。動物園の職員の方や、パンダ好きの方など共通の話題で盛り上がれる方々との多くの出会いがありました。またパンダではなくゴリラを毎日撮影されている方がいたり、同じような趣味をお持ちの方が多くいたりすることも発見でした。さらに、以前は出不精でしたが、パンダに会うために休日でも必ず外出するようになったので、非常に充実しています。」
  −仕事・プライベートともにいい影響があったのですね。またメディアにも出演されるようになりました。
  
「パンダ関連の取材以外にも、なにかひとつの事柄を突き詰めている方とお会いする機会が増えました。便器の研究やカラオケの研究をされている方とか(笑)。色々な専門家、研究家の方々が仕事と趣味を両立していらっしゃるので、いい刺激をいただいています。」
  −面白いですね!突き詰めた趣味は、他者を引きつけるものがあるんですね。
  
「僕は大好きなパンダに関われて、毎日にメリハリが生まれただけで十分でしたが、さまざまな繋がりとネットワークが広がりました。でも、やはりこれだけ続けてこられたのは、会社の同僚や家族の理解と支えがあったからこそ。皆さんに感謝ですね。」
  

趣味を仕事にしない厳格なルールを徹底。趣味だからこそ続けることができる

記念すべき「毎日パンダ」1日目の写真/撮影:高氏貴博
  
趣味を見つけたことでライフスタイルが大きく変化し、プライベートや仕事にもいいサイクルが生まれた。まさにいいことづくし。しかも、自身の趣味を通して、他者にもいい影響を生むことができたと高氏さんは続けます。
  −「毎日パンダ」は、2冊の写真集にもなりました。趣味の域を越えた感じもありますが。
  
「写真集もそうですし、日本パンダ保護協会の会員になったりと貴重な機会に恵まれました。でも、趣味は仕事にしないと決めています。いただいた原稿料の一部は動物園に寄付をしていますし、ブログに広告は一切掲載していません。お金が絡んでくると本来の目的から逸脱してしまいます。僕の趣味は、あくまでパンダの可愛さを世の中に広めること。」
  −趣味だからこそ続いたということでしょうか?
  
「仕事にしていたら、ここまで続かなかったと思います。あくまで自分のできる範囲で、誰にも制約されることなく、やりたいことをやれるのが趣味だと思います。『毎日更新』というルールも、僕の性格が由来の趣味みたいなものなので(笑)。」
  −やりがいを感じるのはどういうときですか?
  
「仕事を休職されていた方からパンダを見て仕事に復帰したといったメッセージをいただいたり、立地環境の都合でなかなかパンダを観ることのできない方がわざわざ上野動物園に来てくれたりと、パンダの『癒やし』の効果がブログを通して伝わったときですね。」
  −高氏さんがパンダを見たときの衝撃が、他の方と共有できているんですね。
  
「それが一番嬉しいです。あと、僕が生き生きとしているのを見て、なにかしらの趣味を持ち始めた人も多いんです。」
  −『毎日パンダ』をスタートする前の自分に一言かけるとしたら?
  
『時間がもったいないから、外に出ろ!』と言ってやりたいです(笑)。休むことも大事なことですけど、惰性で過ごしている時間は本当にもったいない。無駄に過ごしていた時間を返してほしいですね(笑)。」
  

趣味を持つことは、明確な目標をもつということ

日々を漫然と過ごしていると目的がぼやけてきて、何事に対しても情熱を失ってしまいがちですが、高氏さんは『毎日パンダ』をスタートして、ライフスタイルが激変しました。 趣味と仕事を両立するのは難しいことですが、 大事なのは、新しいことに挑戦し、継続することだと高氏さんは伝えてくれています。
  
挑戦する気持ちがあり、熱中できるものを見つけることができれば、継続することは難しくありません。 すべての物事に目的意識を持つことで仕事の生産性が向上し、プライベートも充実させることが可能です。 毎日の生活に変化や刺激がないとお悩みの方は、まずは心から熱中できるものを探してみましょう。 たったひとつの趣味がライフスタイルを大きく変化させてくれるかもしれません。
  

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